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クリュッグは、卓越したシャンパーニュしか生産しない!(2)

「クリュッグは、卓越したシャンパーニュしか生産しない」
と、6代目当主・オリヴィエ・クリュッグは力強く語った。プレステージ・シャンパーニュとしての地位を、不動のものとしているクリュッグ。比類なきものをつづり続ける努力が、クリュッグをクリュッグとしているのだ。

「ここで生まれたシャンパーニュは、クリュッグの職人技を象徴しているだけではなく、シャルドネの本質を表現していると、世界中で高い評価を受けています」
と、オリヴィエが賛辞する、ここ『クロ・デュ・メニル』は、奇跡のような畑である。

1970年代の前半、この畑に魅せられた5代目当主・アンリと、レミの兄弟は、創業以来守ってきたルールを、惜しげもなく破った。それこそが、自社畑の購入だった。それはまた、アッサンブラージュを基本とするクリュッグでは、当初こそ、あくまで例外的な存在であることを義務付けられていた。

レミー・マルタン社の援助を受け、すべて100%格付けのブドウ畑26.74haを取得。毎年のブドウの自給率も、40%になった。そのなかに、あの伝説の「クロ・デュ・メニル」も含まれていたのだ。

コート・デ・ブラン地区にある、最も名高い村のひとつ。ル・メニュ・シュール・オジェ村の南東に面したなだらかな斜面に広がる、わずか1.85ヘクタールの石垣に囲まれたシャルドネ種の単一畑である。

1698年に、はじめてブドウが植えられたというこの畑は、ベネディクト会修道院が所有していた。1971年にクリュッグがここを買収したが、ブドウの木があまりにも古く、ただちに植え替えがはじめられ、1979年になって、ようやく「クロ・デュ・メニル」にふさわしい高品質のブドウが収穫されるようになった。

年間生産量は、ヴィンテージによって変わるが、最大でも17、000本と限られている。シャルドネの特徴をよりいっそう際立たせるために、2日間で収穫。オークの小樽で第一次醗酵をおこない、熟成させる。

少なくとも、10年は熟成させて飲みたい。並はずれて繊細な味わいをもった「クロ・デュ・メニル」こそは、シンプルに楽しむのが最高のぜいたくといえる。ちなみに90年代は、1990年などと合わせて、5ヴィンテージが生産されている。

1983年に生まれたロゼは、創設から140年の年月をかけてつくられた逸品。当時流行していたとはいえ、ロゼ・シャンパーニュでは、クリュッグの味わいを表現できないという理由で、ロゼを生産していなかった。

そんななか、アンリは、父であるポール2世に内緒で、1976年のブドウで、ロゼを試作。
「インディアン・サマーの夕焼けのようだ」
と、父ポール2世は感激したものだ。

マルヌ渓谷のアイ村にある、最良のブドウ畑で収穫されたピノ・ノワールからつくられる赤ワインを、ピノ・ムニエと、シャルドネにブレンド。「グランド・キュヴェ」同じく、マルチ・ヴィンテージである。

褐色を帯びた深いピンク色のロゼ。その極小の泡が、野生のイチゴと、凝縮された花の香りを運ぶ。フルーティでありながも、それでいてスパイシーな香り。辛口でありながらも、繊細でシルキーな味わいが、口中いっぱいに広がる。

クリュグいうところの、
「神さまからの贈りもの」
である「KRUG Vintage」 は、ブドウの出来が特別に良く、個性ある表現ができる年のみに、厳選されたブドウだけを使ってつくられる。ヴィンテージにより、それぞれが異なる味わいと特徴をもっている。その年のブドウの味わいが、よくあらわれたエレガントなシャルドネ、力強いピノ・ノワール、エキゾチックなピノ・ムニエを選びすぐり、ブレンドしたもの。

淡い黄金色、ふくよかで芳醇、そして絹のような口当たり、それぞれのヴィンテージがもつ個性を堪能できる喜びがある。濃厚でありながらも、抑えのきいた味わいは、時と料理を選ばない、まさに逸品。

最後に、クリュッグ家秘蔵のヴィンテージ・シャンパーニュを、15年から20年熟成させたものが、「クリュッグ・コレクション」。当たり年のなかでも、まさしくグレート・ヴィンテージしか生産されないレアなクリュッグ。

個々のヴィンテージに独特な個性と、熟成の到達度が現れており、一本一本、これこそがひとつの発見。その熟成によって、複雑さをさらに増したコクのある味わいは、
「泡のあるモンラッシェ」
とも、たたえられる。それに、「クロ・デュ・メニル」より手に入りにくい幻のアイテムが、この「クリュッグ・コレクション」である。

オーナーの個人ストックから出されるという形式を取っているためか、箱のなかに、
「クリュグ社のセラーで確かに熟成させたものである」
と、申込み用紙が入っており、これをクリュッグに送ると、証明書が返送されてくるそうだ。

レシピはない。そう、あるのは、クリュッグ家の人たちによって記憶された「クリュッグらしさ」だけである。そう、6代にわたって受け継がれているのは、レシピではなく、まさしく「シャンパーニュづくりの感性」である。舌と、記憶にきざまれ、研ぎ澄まされた「感性」を受け継ぐことにより、クリュッグはその味わいをまもり通している。

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