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BOLLINGER Revolution!

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BOLLINGER Revolution!

ボランジェ(BOLLINGER)はフランスのシャンパーニュ地方、ピノ・ノワールの名産地アイ村で1829年に創設された名門メゾンだ。5世代にわたる家族経営を貫き、創業以来変わらぬ伝統的な製法で、高品質なシャンパーニュを生産している。

シャルドネの聖地がメニル・シュル・オジェ村なら、ピノ・ノワールはアイ村。アイ村のピノ・ノワールは、同社の隠し玉「コトー・シャンプノワ コート・オーザンファン」の高い凝縮感からも分かるように、ブルゴーニュの特級畑の赤と品質で対決できるほど。ボランジェのシャンパーニュは、黒ブドウの比率が70%前後と非常に高く、力強くてスタイリッシュな風味が生まれる。

「あらゆる姿の果実」、これがボランジェのキーワード。さまざまなキュヴェで、多種多様な果実味が表現されている。ノン・ヴィンテージなら、新鮮なフルーツ、洋梨や柑橘類のアロマ。「ラ・グランダネ」のようなヴィンテージ・キュヴェなら熟した果実。より熟成したキュヴェになると、コンポートのような煮詰めた果実の香りが感じられ、第三アロマが際立っている。

それと、クリーミーな質感を叶えるきめ細やかな泡立ち。ビロードのような滑らかさに、長い熟成期間と品質の高さが表れている。

そのバランスの良さ。濃厚で明確に表現される要素と、繊細なニュアンスとのバランスが絶妙。しっかりとしたコントラストが感じられ、なお且つそれらが見事に調和しているのが、ボランジェの醍醐味。

それゆえ、ボランジェの男性的な味わいは、その「ピノ・ノワール」と、もう一つ「樽」から来るのだ。そのオーク樽での発酵や、カーヴでの長期に渡る熟成など、伝統的な醸造法によって支えられた品質の高さにより、世界的な名声を確立した。



1884年、英国王室御用達となったメゾン第1号でもあり、ヴィクトリア女王の時代から現在のエリザベス女王まで、歴代王からロイヤルワラントを授けられるなど、まさに“女王陛下のシャンパーニュ”でもある。

むろん、地元シャンパーニュにおいても、ボランジェは一目置かれる存在だ。オリとともに長い期間熟成させ、オリ引きは出荷直前におこなうという画期的な手法を開発、伝統の技法によって生み出される奥深い味はもちろんだが、その理由は、エリザベス・リリー・ボランジェ夫人の存在によるところが大きい。

創設以来、メゾンは息子と孫により次第に拡大されていったが、1941年、3代目ジャック・ボランジェが逝去し、妻のリリー夫人が後を継いだ。45歳で寡婦となり、以後、メゾンを守り続けた伝説の女傑だ。

ボランジェが第二次世界大戦の大混乱期を乗り切れたのは、マダム・リリーのおかげ。畑や醸造所の従業員が疎開した上、電気が通らず、トラックや農機具の燃料もない。

そんなメゾンを勤勉さと節約で守ったのが、マダム・リリーだ。ドイツ軍の爆撃音を聞きながら、ひとりだけ残ったスタッフとともにシャンパーニュをつくり続けた。シャンパーニュ関係の写真で最も有名なのが、スーツで自転車に乗り、畑を回っている、その姿だ。

マダム・リリーの口癖が、
「シャンパーニュは、白でなければなりません」
だった。それだからこそ、1977年にマダムが死去し、40年が経ち喪が開けたとして2008年からノンヴィン・ロゼをつくりはじめたとのことだ。

また、ドイツの通称“ワイン総統”がシャンパーニュの供出を促しにメゾンを訪れた時には、小柄な彼女がたったひとりで大男のワイン総統に立ち向かい、追い返したという武勇伝も残っている。

シャンパーニュ人にとって誇りでもあるシャンパーニュを守り続けた彼女は、亡くなった今も多くの人々の尊敬を集めている。

ボランジェは、シャンパーニュ・メーカーとしては非常に高い自社畑所有率を誇る。生産に必要なブドウの約70%を、シャンパーニュづくりに最良とされるグランクリュと、プルミエ・クリュで主に構成される160haの自社畑から供給している。残り30%も、隣接する信頼のおける栽培農家から買いつけている。

自社でプレスし、一番搾り果汁のみを使用。タイユと呼ばれる2番搾り果汁は、たとえ自社畑のブドウが原料であっても他社へ売却。

ボランジェは、ステンレス・タンクではなく、樽で一次発酵をさせる超少数派。樽で発酵させるのは非常に面倒だし、場所も取るが、ボランジェの独特な香りや、どっしりした味わいはその樽発酵のおかげだ。

なかんずくシャンパーニュのメゾンで唯一、樽工房があり、そこでは専属の樽職人が樽の修理をしている。新樽は使わず、ブルゴーニュのドメーヌで4年使った樽(いわゆる、「四空き」)を5000個近く所有。これは、シャンパーニュ地方ではボランジェ社のみの取り組みで、フランス政府より「無形文化財企業」に認定されている。

樽の木目を通して細やかな空気に触れることで、ゆっくりと長い時間をかけて熟成が進むため、より一層アロマが発展。ボランジェ特有のクリーミーな泡立ちも、この樽発酵に由来。

ヴィンテージ・キュヴェは、すべて樽発酵をしている。樽に仕込んだワインは6~8ヶ月寝かせた後、ヴィンテージ・キュヴェにするかを判断。ヴィンテージ・キュヴェにならないものはマグナムに詰めて、リザーヴ・ワインとして熟成させる。

設立当時から変わることなくボランジェ一族によって生産における厳しい基準が保ち続けられており、1992年には、長年守り続けてきた製法と、基準を表す“倫理と品質”を「ボランジェ憲章」として発表した。継承される伝統によって育まれる一貫したスタイルとすばらしい品質を誇るシャンパーニュを造り続けている。

ボランジェは、映画『007』シリーズで、ジェームズ・ボンドが愛飲するシャンパーニュとしても世界的に知られている。映画に使用されるようになったきっかけは、ボランジェ・ファミリーの一員で当時社長の職にあったクリスチャン・ビゾーと、製作プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリとの友情から。

初登場は、ショーン・コネリーからロジャー・ムーアへ替わった第8作目の『死ぬのは奴らだ』からだ。冒頭のシーンで、カリブ海のサン・モニック島のホテルに到着したボンドは、荷物を開ける前、いつも通り、まずは一杯。ルーム・サービスに電話して『ボランジェを1本頼む。冷えたのを』
と、オーダーした。ボンドは英語読みで、『ボリンジャー』と言っている。で、オーダーした次の瞬間、部屋で待ち伏せている敵側の女スパイに気づいて、
『グラスは、2つだ』
そのボンドが飲んでいるのは、『RD』というシャンパーニュ。ボランジェの看板シャンパーニュだ。

長く寝かせたシャンパーニュを、出荷直前に澱を引いて、コルクを打った特別版。R.D.とは「Récemment Dégorgé=最近デゴルジュマン(澱抜き)された」という意味で、市場に流通させる一年前までにデゴルジュマンされたことを表している。ボランジェの登録商標名。

普通のシャンパーニュは、泡が元気に出るものは熟成香がないし、古酒はカシューナッツや、マッシュルームのような熟成した香りがある。が、泡が2、3筋しか立たない。その両方をいいとこどりしたのが『RD』。その『RD』は、出荷直前までボトルの中で澱と接触させ、澱の旨味を吸い取るので、通が喜ぶ紹興酒風の熟成香がある。

かつて多くのシャンパーニュ・メゾンでは、家族や親しい友人、特別な客人と楽しむためにオールド・ヴィンテージのコレクションを保管しており、パーティーの少し前に澱抜きして振る舞っていたのだそうだ。

この特別なワインを世界中の人に提供したいというマダム・ボランジェの想いから、1963年にシャンパーニュ史上初めて澱抜きした日付をつけて販売されたキュヴェが「ボランジェ R.D.」なのだ。

また、品質の高いブドウが収穫された年だけにつくられるヴィンテージ「ボランジェ ラ・グランダネ」。とりわけ、「ボランジェ ラ・グランダネ 2008」は、21世紀で最も期待されたヴィンテージのブドウからつくられ、澱の上で9年以上熟成させた逸品だ。

アイ、ヴェルズネイ、ル・メニル・シュール・オジェ、クラマンといったクリュをメインに18のクリュを使用している。またワインの質を高める特性を持った19世紀のボトルにインスパイアされ、「1846 ボランジェ・ボトル」と呼ばれる、独特な形をしたボトルで熟成させた最初のプレステージ・キュヴェだ。樽を使用したワインづくりを表現した新ギフトボックスが、この貴重なボトルを包み込む。

フランスが世界に誇るシャンパーニュが、ボランジェの「ヴィエーユ・ヴィーニュ・ラ・フランセーズ」。

ラ・フランセーズは、同じ畑の同じヴィンテージのピノ・ノワール100%でつくった「ブラン・ド・ノワール」。ブラン・ド・ノワールは、非常に少ない。それだけでも稀少価値がある。生産量は1500~2250本しかなく、シャンパーニュの中で、最も生産量が少ないのがこれ。

うりは、なんといっても、「ブドウ樹がフィロキセラに感染していないこと」。接ぎ木せず、自根で育っている。が、じつのところ、2004年に3つの畑の内1つがフィロキセラに罹ったそうだが…



ボランジェには、知る人ぞ知る超マニアックな「隠し球」がある。「コトー・シャンプノワ コート・オーザンファン」が、それだ。ピノ・ノワール100%の赤だ。

コトー・シャンプノワはかなり高価なのに、酸味が非常に強くてリピートする人はほとんどいないそうだ。しかし、凝縮感の高い果実味があり、上品。ボンヌ・マールや、クロ・ド・ラ・ロッシュみたいなモレ・サンドニ村の特級と見分けがつかない。

コート・オーザンファンは、「子供の坂」の意味で、子供がやっと登れるほど斜面は急だ。5haしかなく、ボランジェの単独所有で、「グランダネ」のロゼには5%入れるとのこと。「ボランジェは、ピノ・ノワール」とあらためて納得。

参考; ※葉山考太郎のコラム(ENOTECA)※

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