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エメンタール、チーズ界の王さま!

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エメンタール、チーズ界の王さま!(再投稿)

「今夜は何もすることがないから、フロマージュの簡単なお勉強をしてみようかな」
ってな具合で始めたのが、このチーズ・コラム。その第1回目が、『エメンタール』でした。

ずいぶんと昔のハナシですが、まだまだ今日のように多数のワインの本とか雑誌なんか出ていないときに、ワインのお勉強を面白半分に始めた頃、チーズ、とりもなおさずナチュラル・チーズが必ずといっていいほど紹介されていました。そんな昔のメモを時折ひっぱり出しながら、このコラムを書いています。

さて、そのスイスだが、2000年以上も前、ローマ人によってチーズづくりが始まった。

とりわけ、私たちにとって馴染み深いのは、あの雪深いアルプス山中でつくられ、16世紀ごろ有名になった加熱・圧搾タイプの「エメンタール」が、それだ。いわゆる通好みのハード・タイプ。また、エメンタールは、スイスの全輸出量の約半分を占める。

アニメ・「トムとジェリー」の、あのかわいくて小憎らしいねずみのジェリーの大好物の穴あきチーズといえば、分かるだろう。

ベルン州エンメ川流域のエメンタール渓谷でつくられるスイスを代表するとともに、大きさ、風味ともに「チーズ界の王さま」。特徴である風味はおだやかなナッツの香り、そしてマイルドで、わずかに甘みがのこる。

そのままでも、すり下ろしてもOK。まさしくオール・マイティのチーズである。



スイスでの「チーズの女王さま」・グリュイエールとともに、チーズ・フォンデュが一般的。サラダに、散らして。もちろん、そのまま薄くスライスしてサンドウィッチに。加熱すると、伸びがよくなり、風味もグッと増す。あったかいジャガイモ、グラタンに乗っけてどうぞ。

直径は、70cm~1m。高さは、13~25cm。重さは、60~130kgで、まるで大型のトラックのタイヤほどもある。それに、チーズ・アイという大きなサクランボ大、あるいはクルミ大の丸い気孔が特徴でもある。

朝は早い。朝乳を牛乳缶におさめ、村落ごとにあるケーゼル・ハウスに搬入時からチーズ製造は始まる。10℃以下に冷却していた前日の夕乳と、朝乳を合わせて巨大なチーズ・ケトルにおさめ、32℃まで温める。

その温めた牛乳にプロビオン酸菌を含む3種類のスターターを使い、レンネットを添加。およそ30分後、チーズの親方であるマイステルがカッティング作業を始める。。カード切片の固相と、ホエーがくっつかないように分離するまで15分ほど、アシスタントが攪拌。

弾力性のあるカード粒子に変移した頃合いを見計らって、攪拌を加速し、チーズ・ケトル内をスチームを通して、53℃まで加熱。攪拌は45分ほど続けられ、カード粒子はひきしまり、小豆大までに収縮。

次いで、大きめの麻布でそれらをすくいあげ、型枠に収めて、プレス作業に入る。型枠側面の輪っぱをしめつけたりして形を整え、そして反転させたりして2日間の作業になる。

その後、生チーズの両面に軽く塩をふりかけ、カード温度が下がるのを待って、2日間、飽和状態の食塩水に漬け、それでもなおチーズ表面に塩をすりこむ。それが終わると、再度塩をふりかけながら、毎日ブラッシングを10日間ほど続ける。

低温発酵室にカードを移してからも反転を繰り返し、塩をすりこみ2週間ほど乾燥させる。
次いで、カードを暖かい部屋に置き、発酵を促す。「チーズの目」を形成させるためだ。熟成の1ヶ月ほどで、バクテリアの活動が活発になる。

《チーズの目》はプロビオン酸ができることによって、炭酸ガスが発生し、気泡がチーズ内にでき、そして固まったもの。ホエーがにじみ出てたまっているときがある。それを、「チーズの涙」といい、なかなか貴重でおいしいともいわれている。

そんな具合で、、チーズ上部の中央部分が大きく盛り上がるように膨らんでくる。そのままだと、チーズ内で破裂してしまうので、今度は低音の熟成庫に移す。そんな気孔が丸く、そろっていると、おいしいチーズの出来上がり。

熟成中に自然と固い表皮になり、弾力のあるしっとりとした中身は、淡いアイボリー色。味は、淡白。

発酵・熟成は、3段階。実に、手まヒマかけて製造される。基準となる価格は、外観、味はもちろんのことだが、チーズ・アイの出来具合と、堅さ、弾力だ。最高点は、20点。

淡黄色。ひきしまった固い身、そのくせしなやかで弾力性がある。しっかりとした触感。マイルドでおだやかな味わいにためか、食べやすくそのままでテーブル・チーズにも、料理にもと大活躍だ。

ワインはといえば、辛口、やや甘口の白がおすすめ。もちろん、地元であるスイス産を始め、クセのないテーブル・ワインでもいい。チーズ・フォンデュは、シェリーで香り付けするため、シェリーもいい。

おくやみ; ワイン界の巨人、ロバート・モンダヴィ氏が亡くなられました。94歳でした。

参考;『チーズ図鑑』(文芸春秋編、刊)



♪ どういうものか、シューベルトのシンフォニーが聴きたくなった。全集としては、ベーム/ウィーン・フィルを始め、ケルテスとか、コリン・デイヴィスなどが評判がよろしいようだが、思えばまだ1番から聴き通したことってないなあ。今夜は、まだまだ習作中の若かりし頃のヤツを聴く。

カルロス・クライバーの名演、8番(旧7番)・「未完成」とカップリングになっている3番から始めよう。シューベルト自身がタイトルをつけた4番・「悲劇的」,やや楽器編成が小規模になった名曲・5番は、ともに19才の時の作品。

とりわけ、5番は好きな曲だ。出だしもいいが、フィナーレはモーツアルトをも思わせる。ちょうど、教職についていた頃だよなあ。激しいながらも、実にみずみずしく伸びやかでさえある。それに、やはりもって生まれたモノだろうが、シューベルトらしく美しい歌心がある。♪

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