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ポートワインを一杯(1)! 

wine

ポートワインふたたび; ポートワインを一杯<1>。
■ ポートワインのタイプ(1)

「銘醸ポートは、あらゆるワインのなかで、最も偉大な物であろう」
と、イギリスの著名な作家で、ワインに造詣の深いアレックス・ウォーが語っていたり、アガサ・クリスティーのミステリなんかでも、よくでてくるポートワイン。

「ワインを飲んだ後に、ポートを少し」
それとも、
「ポートだけを、チビリ、チビリ」
とかなんとかで、楽しんでみてはどうだろう。濃厚なチョコレートのように、深いコクのある甘さがなんともたまらない。

アルコールを強くすることで、劣化しにくくしてあるワイン。また、そうすることで、ブドウの自然の甘さと、果実味を残すことができる。それに、一度封を切っても風味が落ちないので、その味わいを楽しめるのが魅力ともされる。クラッカーにブルー・チーズをのせ、それをつまみに、毎晩少しずつ楽しんでいるという方も多いのではないだろうか。

ポートワインは、その歴史と、格調高い風味で世界のワイン通を魅了しており、食前酒、または食後酒のデザートワインとしてたしなまれている。お値段はというと、ピンからキリまで。

そもそもポートワインは、ブドウ果汁のまだ糖分が残っている発酵途中で、アルコール度数77度のブランデーを添加して、発酵を止めてしまうもので、いわゆるフォーティファイド・ワインである。アルコール度数は、19~22度。甘口の程度は、添加されるブランデーの量によって決まる。

しかしながら、厳密にはワインというよりも、製法が普通のワインと異なるために、果実酒の一部でもあって、飲み方も、そのままでもたいへん濃厚な甘みのあるお酒なので、ロックで飲んだり、水割り、お湯割りなどでも楽しむことができる。

それだけに、果実の香りと酸味を生かしたデザートには、赤の「ポートワイン」がよく合う。果実の香りが豊かであるがゆえに、アイスクリームや、カットしたフルーツにかけると、いっそうおいしくなる。

赤は食後のデザートワインや、ナイトキャップとして、白はアペリティフとして楽しむことができる。

そのさい、あくまで少量つぐものだからといって、小ぶりなリキュールグラスではなく、白ワイン用のグラスで香りを開かせてみるといい。余裕があれば、リーデルのポートワイン用のグラス、それはヴィンテージポート、トウニー、ホワイトポートなどでサーヴィスするのが最適ともいえるのだが…

とりわけ、ハレの時に、何人かで開けるワインであるヴィンテージポートは、やさしくあつかって欲しいものだ。それも抜栓後、できればその個性が変わってしまうため、その日のうちに飲んで欲しい。ちなみに、1970年は、20世紀における最高のヴィンテージの一つ。1985年のヴィンテージポートも、甘みと香りのバランスが良く、ポートらしいコクが楽しめる。



お気に入りのポートワインに、ポートの大御所ともいえるフォンセカがある。フォンセカ・ギマラエンス(Fonseca Guimaraens)は、あらゆる名声にいろどられた第一人者で、色調の濃いヴィンテージは、まさに最良のものの一つ。イギリス人所有のポートワインのシッパーとして、1822年に誕生した。

マノエル・ペドロ・ギマラエンスがフォンセカ・モンティロという古い会社を買い取ったのが、その始まり。かれは政治家でもあったが、政敵に追われ、ポートの樽に隠れて、イギリスへと渡った。

本拠地をイギリスに移した後も、ポートワインのシッパーとして大きな成功をおさめ、かれの死後、1927年になって、フォンセカ・ギマラエンスは故郷ポルトに凱旋。現在は、ブルースと、その息子の現社長兼ワインメーカー、デヴィットにより、昔ながらの運営がなされている。

ブルースは、ダヴォラ渓谷の真南の斜面に、テラス状にひろがる単一畑キンタ・ド・バナシュカルを、1978年取得。そのさいに、混植をやめ、個別にブドウ樹を植え替え、トラクターの通行を可能にし、新しい様式のテラスを組んだ。1992年、その有名なクラスAの畑で、有機栽培を最初に導入した。

2002年、有機栽培として認定を受けたブドウのみからつくられた「テラ・プリマ・リザーヴ」と名づけられたポートワインを、生産することが可能になった。これは、酒精強化に使用するスピリッツにも、特別に有機栽培の認定を受けたブドウからつくることのできる蒸留所と契約したからでもある。

フォンセカ・ギマラエンスのポートワインづくりは、きわめて伝統的。昔ながらのラガールに男たちが入り、ブドウを足で踏んで破砕、ヴィンテージポートは今でも、足でブドウを破砕してるという。人間の足の生み出す微妙なつぶし加減は、機械では太刀打ちできないという。

「Bottle Aged」と呼ばれるヴィンテージ宣言をするか否かは、ブルースとデヴィットにより決められ、取締役会の承認を経て、最終的に決定される。

最も偉大でクラシックな年のワインにはフォンセカ・ヴィンテージのラベルが貼られ、20世紀にわずか21のヴィンテージしかない。

それよりもやや軽く、比較的早めに飲みごろが訪れるよい年には、ギマラエンス・ヴィンテージの名前がつけられる。そして、単一のブドウ畑よりつくられるキンタ・ド・パナシュカル・ヴィンテージポートの3種類のヴィンテージがある。

ルビーポート、タウニーポートなどは「wood Port」と呼び、比較的手軽に楽しめるタイプとして紹介している。瓶詰めされた後は、すぐに飲めるし、開栓後も数週間よい状態を保てる。

色(ルビー、タウニー、ホワイト)と、品質(オールド・トウニー、LBV、ビンテージ)によって、カテゴライズされている。各ワイン蔵によっては、もっと細かく分けているところもある。

ポートワインは、基本的にはブレンドにより風味のバランスを取るワインである。言い換えると、メーカーによってそのブレンドの個性がでてくるわけだ。

ポートに使われるブドウ品種はというと、主要品種と補助品種があり、主要品種は最低60%を使用、また補助品種は40%まで許される。合わせて、29品種が認められている。しかしながら、近年は品質向上のため、さらに限られた品種が使われている。代表的な品種は、トゥリガ・ナシオナル。

主要品種(15)、黒ブドウ(9)、白ブドウ(6);
ティンタ・フランシスカ エスガナ・カン、ティント・カン フォルガザン、トゥリガ・フランセーザ グーヴェイオ、トゥリガ・ナシオナル マルヴァジア・フィナ、ティンタ・ロリス ラビガト、バスタルド ヴィオジーニョ、ムーリスコ・ティント、ティンタ・アマレーラ、ティンタ・バロッカなど、すべてが土着品種である。添加するブランデーも、同じ品種から、蒸留している。

参照;『ポートワインを一杯』(著:アンドリュウ・ガーヴ) <ハヤカワ文庫 /イギリス・ミステリ傑作選’75(編:ジョージ・ハーディング 訳:青木久恵、他)

※ ポートワインは、つぎのように5種類に分けられる(1)



ルビーポート:ホワイト・ポート:タウニーポート:ヴィンテージポート:レイト・ボトルド・ヴィンテージ(Late Botlled Vintage):ごく一部ではあるが、フォンセカを例にとると、以下のようになる。(参照;日本リカー:http://www.nlwine.com/)

■Ruby: 美しいルビー色の、最もポピュラーな若々しいタイプ。その色の美しさから名づけられたポルト。種類の年度が異なるワインをブレンドして、樽で3年以上熟成させる。フォンセカの場合、色はややこげ茶がかった赤褐色。ブラックベリーのジャムや、黒コショウのようなスパイシーな香り。

ワインの涙から、粘性の高さがうかがい知れる。香りはカラメルや桃缶の甘さに、揮発性の強さからアルコール度数を感じさせる。サラサラな口当たりながら、フワッと美味しいふくらみ。コクのある甘みは、上品におあさえてあって、程よい。

日本では主に調理用として使われているが、一般的には、食後酒。銘柄により、甘さに少し差がある。果実味に富み、デザートワインとして、あるいはカクテルなどで親しまれている。

デザートとして、少し冷やして飲む。バニラのアイスクリームにかけても、輪切りにしたメロンにルビーポートをそそぎ、スプーンですくって食べるのもいい。料理との相性は、ポン・デ・ケイジョ(チーズパン)、エッグタルトなんかどうか。

ルビー→リザーブ→LBV→ビンテージの順に、若いルビーほど、深紅色が強く、品質が上がるにしたがって、コハク色に変化。

■ヴィンテージ・キャラクター: ヴィンテージに似た特徴を持ったルビーポート。
□Bin No.27
フォンセカ社がおもてなしに使うもの。ルビーポートのリザーブ。なめらかで厚みがある。赤スグリのジャムを思わせる香り。キメ細やかな渋みが、心地よい。ビターチョコレートや、ハードタイプのチーズとともに。

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