Wine & Dine! チーズのうんちくも...  ENOTECA楽天市場店

はつらつ、いきいきプロセッコ!

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はつらつ、いきいきプロセッコ!

ある暑い盛りのお昼過ぎ。
行きつけのお店がお休みのため、急な坂を大粒の汗をふきふき、歩き回ったあげくに見つけたお店だ。

エティケッタをべたべた貼ったガラス戸を押し開けると、
そこには…、
天井といわず、そこらじゅうに、ワインのからボトル。 それも、イタリアものが多い。
「カフェ・バーなんだ! 」
と、やっと合点がいったもんだ。

「スプマンテ、あればグラスで」
と、つい口からでた。
奥さんとおぼしき人が、
「プロセッコでよろしいですか? 」
と、笑顔でおっしゃった。大好きなシャンパンは飲みたいが、懐具合がさもしいせいか、そうそう頻繁には飲めそうにない。それじゃってんで、さっそくプロセッコをいただこう。

本国・イタリアでは、仕事が終わると、
「プロセッキ・アーモ!」(プロセッコを飲みに行こう!)
と誘いあって、
「まずは、プロセッコで乾杯」
なんていうことが、よく聞かれる、今日、人気の、きわめてカジュアルなスパークリング・ワインである。イタリア語では、スプマンテ。スーパーなんかでも、よく見かける。クリスマス、年越しなどには、プロセッコは欠かせないものの一つなのである。

そんなプロセッコは、イタリア国内のみならず、世界的にも販売量が伸びており、シャンパーニュ、カヴァに次ぐ、第3のスパークリング・ワインともいわれている。

色はうす~い麦わら色で、緑色がはっきり見てとれるので、酸が強いワインかな、と思うが、たしかに草の香りこそあれ、甘いリンゴや洋ナシを思わせるし、それほどとがった酸を感じさせることはない。

すっきりした軽やかな味わいで、辛口ながら口当たりは良く、ワイン初心者から上級者まで楽しめるはず。花のような香りと、柔らかくフルーティーな味わいで、なんともいえないうまさ。はつらつ、いきいきという言葉がぴったりのさわやかな泡である。

ボトルのなかで、二次発酵をおこなうシャンパーニュや、カヴァは、発酵中や発酵後に酵母、オリ(澱)がワインに風味や、コクを与えるが、大きなタンクで二次発酵をおこなうシャルマ方式といわれるガス注入によるスプマンテは、ブドウ本来のデリケートなアロマが、そのまま生かされているのが特徴である。

このワイン、何が素晴らしいかというと「質と価格のバランス」、つまり、コスト・パフォーマンスなのである。イタリアでは「辛口スパークリング・ワイン」の代名詞的な存在ではあるが、銘柄が何であれ、辛口のスパークリングワインなら、プロセッコで決まり。

それとともに、ワインそのものがあまり強く主張するところがないので、普段の家庭料理に幅広く合わせられるところも魅力。オードブルはもちろん、パスタからメイン料理、さらにはデザートにもあわせられるという、まさしく万能の泡といえる。

また、パスタでも、パルミジャーノで味を整えると、コクが出て、ワインの酸味とよく合う。クリーム系、トマト系、オイル系なんでも来いだ。あったかお鍋も、味の相性なんて深く考えなくても、この冷たいプロセッコが合う。

あと、こだわらなければ、たこ焼きとか、お好み焼きのようなワインにとても合わせそうにないメニューにも。それに、いろんなおやつのスナック菓子。かっぱえびせんや、枝豆系スナックなんかとも、バッチリ。

飲みきれずに、残ってしまったならば、グラスに注ぎ、そこにしぼった果汁を加えて混ぜるだけで、ちょいとしたカクテルのできあがり。イチゴ、オレンジ、モモなどの果汁100%のジュースを使えばもっとお手軽に。

しかし、やっぱり残念なことに、シャンパンに比べると、泡もちが悪いと、あまりイメージはよくない。それだから、シャンパンや、フランチャコルタは高いから、その代用品的な扱いになってしまいがち。それに、あまり長期熟成に向くワインとしてつくられてはいない。

そのプロセッコは、イタリア北東部、ヴェネツィア近くの土着白ブドウの品種名。プロセッコ種でつくったワインはすべてこう呼ばれるが、一般にプロセッコというと、スプマンテのDOC(正式には、DOCプロセッコ・ディ・コネリアーノ・ヴァルドッビアデーネ)のことを指す。

しかし、実際にはスティル・ワインはもちろんのこと、トランクイッロ、セミ・スパークリング(フリツァンテ)、スパークリング・ワイン(スプマンテ)もプロセッコと呼ばれ、その味わいもセッコ(辛口)、アマービレ(やや甘口)、ドルチェ(甘口)など多岐にわたっている。

ちなみにトランクイッロは、前菜や、パスタ料理、フリザンテはリゾットや、魚の前菜。スプマンテは、リゾットや魚の前菜など、食前酒として飲むのがいい。

イタリア全国から見ると、比較的冷涼な地域の北部ヴェネト地方とはいえ、日当たりの良い場所に植えることによって、ここまで美味しくつくり上げることができる。

はっきりはしないが、トリエステ県にあるプロセッコ村で栽培されていたグレーラが、その起源ではないかといわれている。2つのタイプがあり、ブドウの実の形からプロセッコ・トンドと、プロセッコ・ルンゴに分かれる。つくられるワインのほとんどが発泡性になるが、少量だがスティルワインもつくられている。

そんなわけで、以前は、量産される安価なワインが多かったが、最近の土着品種ブームも手伝って、生産者の意識もうんと高まり、品質が向上した。カルティッツェなどの高級ワインもあり、スタイルにも多様化が見られるようになっている。ユーゴスラヴィアにもプロセッコ・ローザがかつてあったし、今でも地域限定にはなるが、アルゼンチンでも栽培されている。

■ モーツァルトディヴェルティメント 第17番ニ長調 K334

モーツァルトは30曲ほどのディヴェルティメントを作曲しているが、第17番はその中でも特に大きな規模と、深い内容で知られている。音楽評論家の故宇野功芳氏は、
「K334は、ぼくの宝だ」
と書く。この6楽章のディヴェルティメントは、ザルツブルグ時代の後期をかざる最高傑作というにふさわしい作品。全体を通して、美しい旋律にあふれている。その情愛の深さと、ときおり顔を見せる憂愁の影によって、同時代のディヴェルティメントからは、頭一つ抜けた作品となっている。

「これ一枚あれば…」というCD、ウィーン八重奏団団員(デッカ ’61年盤)で聴く。

最初の緩序楽章は、アンダンテの主題と、6つの変奏曲から成り立つが、まるで厳粛な四重奏曲を聴くような趣がある。第1楽章の華やかさ、優雅さ、第2楽章の憂いをともなう哀愁など、聴きどころが、まさしく満載。ヴァイオリンの絶妙なバランス、ホルンののびやかさ。

第3楽章が「モーツァルトのメヌエット」としてあまりにも有名。だが、第17番の真価は、第5、6楽章にある。その翳りの深いメヌエットとといい、フィナーレの永遠ともいえるロンド。曲想の明るさとはうらはらに、生のはかなさを秘めている。

この作品は親しかった名門貴族・ロビニッヒ家のために書かれ、モーツァルト自身も、「ロビニッヒの音楽」と呼んでいた。

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