Wine & Dine! チーズのうんちくも...  ENOTECA楽天市場店

最強タッグ、エスプレッソと、グラッパ!(2)

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■ WINE & DINE; クラッパ(+エスプレッソ)

イタリア人のライフスタイルには、バールが欠かせない。朝食は、カプチーノと、ブリオッシュ。昼食は、パニーノで、軽いランチ。そして、食後は、エスプレッソや、カフェ・マッキャート。仕事の後は、ワインや、カンパリ、といった具合だ。

バールには、バリスタがいる。自分の好みをバリスタに告げて、エスプレッソを入れてもらう。その日の気温、湿度、豆の状態などによって、微妙にいれ方を変えながら、最高のエスプレッソを提供している。

ヨーロッパ・スペシャリティ・コーヒー協会では、3クラスから成る厳しい技能認定を実施。そのため、バリスタでお店を選ぶ人も、多い。そんなバリスタがこだわるおいしいエスプレッソはというと、
「9~10気圧で抽出。その抽出時のお湯の温度は、沸騰直前の92℃前後。その抽出量はといえば、25~30ml。それに、ソロの抽出時間は、20~30秒」
と、おもにこの4つだ。それに、タンピングという作業をしっかりしないと味わいが浅く、逆にやり過ぎると雑味などが含まれる。


おいしいコーヒーはブラックで、という人ほど、エスプレッソには、砂糖を入れないものだ。しかし、砂糖を加えることで、エスプレッソの味わいに奥行きがでるのだ。バリスタがいれたエスプレッソに、砂糖を入れてはじめて、ホントのエスプレッソができあがるともいえる。

ちなみに、ナポリなどでは、提供時からエスプレッソに砂糖が入っていることもある。それに、エスプレッソ・マシンの最初の蒸気で出たスプーンひとすくいのカフェこそが、とても大切。それをカップに移し、大量の砂糖と、素早く混ぜ合わせる。その濃厚なカフェと、砂糖がカクハンされて、甘いカフェ・エキスのようなものができる。そこに、後から抽出されたエスプレッソを、注ぐわけだ。

まずは、温めたデミタス・カップの表面をおおうクレマ、その泡をチェック。いいクレマは、ヘーゼルナッツ・カラーといわれるライト・ブラウン、状態も、フラット。クレマがうすければ、エスプレッソとしては好ましくない。

それから、ちょいとおしゃれでもあり、ふぞろいのペルーシュ・シュガーをくだき、お好みの量を入れる。なければ、スティック・シュガー1本の量でも、OK。スプーンですくって入れる場合では、山盛り一杯が、目安。ここでもかる~くかき混ぜ、味わいの変化を楽しむのだ。

エスプレッソは、風味が飛びやすいため、早めに飲みほす。ちょいと貧乏くさいが、カップの底に溶けきれずに残った砂糖を、スプーンですくって食べてみると、ちょっとしたキャラメル状になっていて、甘苦く、なかなか美味しいものだ。

その砂糖が残っているカップに、グラッパを注ぐと、もっとおいしくなる。エスプレッソの香りと、甘味がプラスされて、より一層美味しくなる。

それを、一気に飲みほす。グラッパだけだと、アルコールの強さが目立つ。エスプレッソの香りがついたペルーシュが、グラッパとからむことにより、アルコールの角がとれ、深いコクのあるグラッパのメリットを引き立たせるのだ。イタリア料理だけじゃなく、今じゃフランス料理でも、食後の定番だ。

夏になると、バールで、冷たいエスプレッソが飲める。まず、濃厚エスプレッソを抽出。シェーカーに、砂糖1杯と、氷を入れて、エスプレッソを投入。シャカシャカと振り、エスプレッソを急冷して、泡立てる。これぞ北イタリアの冷たいエスプレッソ。

「急行」と、意味するエスプレッソは、「特別に、あなただけに」、とのイミ合いもある。それとまた、「抽出する」という意味の動詞の過去分詞形から、派生したとする説もある。イタリアで、「Caffe」 といえば、エスプレッソのことを指す。

近年、エスプレッソを提供するお店も増えてきている。でも、スターバックスをはじめとするシアトル系エスプレッソと、イタリア系のエスプレッソでは、コーヒー豆のローストが違う。イタリアのエスプレッソは、イタリアン・ローストのコーヒー豆を使うのだが、エスプレッソ単体で楽しむには、深炒りすぎて、苦味が強すぎる。実際には、それより少し浅炒りのフルシティか、せいぜいフレンチ・ローストの豆を使う。

エスプレッソそのものを楽しむことの多いイタリア系に対し、シアトル系はミルクにシロップなどを加えたアレンジ・コーヒーが主流。このため、シアトル系はコーヒーの香りや味わいが、たっぷりのミルクや、シロップに負けないように深く濃くローストされたコーヒー豆、一番深いイタリアン・ローストを使用している。

それと、北イタリアが比較的浅いミディアム・ローストなのに対し、ローマや、ナポリなど南イタリアではローストが深くなる。それに、フィレンツェや、ミラノといった北中部では、エスプレッソ一杯は約25cc、ローマでは約20cc、さらにナポリでは約15ccと、地域によって量も変わる。

さらには、人によって、好みの量が違うということ。たとえばカフェ・ルンゴでも、30cc、40cc、それに50ccというようにだ。とりわけ、こだわりを持つイタリア人は、自分の好みの量と少しでも異なるモノが出されると、不快感をしめすことも。

繰り返しになるが、イタリア人がエスプレッソを決める基準は、おもに味わいと、香り。水の温度が低過ぎると、香りがそこなわれる。逆に、高過ぎると、香りが焦げたクッキーの香りのようになってしまう。

強いフレーバーが好きな人にはティラミス、マイルドなフレーバーが好みの人には、パンナコッタ。ドルチェは甘く、北はヴェネチア地方のプティッツァから、南はシチリアのマルツァパンまで、エスプレッソとの相性はどれも抜群。



コーヒーの起源は、エチオピアの羊飼いがはじめて口にしたという。エスプレッソは、歴史をさかのぼると、トルコ・コーヒーにたどりつくといわれる。

初期のコーヒーは、抽出ツールがなかったので、細かくひいた豆を手鍋で煮詰め、そのできあがった上澄み液を飲んでいた。その後、上澄みだけをおいしく抽出する方法を研究し、さまざまな飲み方のコーヒーが生まれた。そのひとつが、エスプレッソ。

ナポリ発祥といわれているエスプレッソ。ナポリの町を歩くと、バールはもとより、カフェ器具を売っているお店が多い。お気に入りのカフェで、エスプレッソを一杯。バリスタと談笑しながら、カフェを立ち飲みするのがよく似合う町だ。

こんな具合に、イタリア人は、一日に3杯も、4杯もカフェを飲むが、そのかれらでさえ、ナポリのカフェは別格だ、という。理由はというと、なんでもそうだが水の違いが大きいようだ。

20世紀初頭、ベッツェーラ社の創業者であるルイジ・ベッツェーラによって発明されたエスプレッソ・マシンによって、エスプレッソは、イタリア人にとっては、まさしく生活の一部になった。

サイフォン式が圧力によってより早く、濃厚なコーヒーがいれられるように、さらに高圧力で高速にコーヒーをいれる方法なのだ。短時間で出来るので、カフェインの含有量は、ドリップより少なくなる。もちろん、抽出量も少なく、温度も低いので、冷めないうちにデミタス・カップで飲むのが一般的。

さて、この特許を買い取ったデジデリオ・パボーニが、1906年のミラノ万国博覧会に、「ベゼラ」という名前で出品したのがエスプレッソの起源。1杯ずつ注文に応じていれる手法が、トルコ・コーヒーですでに定着していたイタリアで広く受け入れられた。

現在多く用いられている電気式のマシンは、1916年にエルネスト・バレンテによって開発された。その後、1933年には、世界的なエスプレッソ・メーカーとして知られるイリー社の創業者であるフランチェスコ・イリーが、セミオートマチック・エスプレッソ・マシンの原型を開発した。

これによって、さらにエスプレッソの濃厚な香りや、おいしさが引き立ち、イタリア人にとって欠かせない飲みものとして定着した。

■■ シベリウス 交響曲第5番変ホ長調   「日はくすみ、冷たい」

ベルグルンド/ヘルシンキ・フィルで聴く。名作である。美しい曲想を持った自然賛歌は、シベリウス音楽の神髄。平明な美しさと、フィナーレの盛り上がりなど、理解しやすい内容をもっている。安易に俗っぽさを求めず、高い精神性を持った音楽に仕上げているところがいかにもシベリウス。

第1楽章冒頭からホルンに続き、木管へ。響きと、厚みのある壮麗さ。まさにフィンランドの森の夜明けだ。第2楽章の静かな足取りで、深く瞑想をも感じさせる。第3楽章の自然な盛り上がり、なにより弦楽器と、管楽器の透明感のあるハーモニーが美しい。

盛り上がったフィナーレも壮大な最終楽章。そのクライマックスでは、優しく、おおらかに生命賛歌を歌い上げる。同じベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団も、明るく小気味いい。

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