今夜はちと欲張って、ペコリーノ2種!

今夜はちと欲張って、ペコリーノ2種。

イタリアの羊乳チーズの代表格はなんといっても、『ペコリーノ・ロマーノ』。ハード・タイプのチーズである。「ペコリーノ」は、イタリア語で、羊乳で作ったチーズというイミ。

「ヨーロッパ最古のチーズ」
ともいわれ、ローマっ子が愛してやまないチーズでもあるらしい。

とりわけ、そら豆の季節である5月に、スライスしたチーズを添えるのは、あまりにも有名。イタリア料理にぴったり合うという評判のチーズである。

当初はローマ近郊にて作られるも、生産の拡大にしたがい、現在はサルディーニャ島(『ペコリーノ・サルド』は、半硬質チーズ)が生産量の90%以上を占める。牛乳製は「ヴァチーノ・ロマーノ」、山羊乳は「カプリ・ロマーノ」と、羊乳製ばかりではない。それに、黒コショウ入りも評判は上々。

11月下旬から6月の下旬までと、羊の繁殖サイクルに合わせて生産される。一日1回、朝と夕の2回搾乳し、それを合わせて、すぐさまチーズを製造。

伝統的な製法によると、ろ過して、不純物を取り除き、75℃、15秒で熱殺菌。36℃で温め、純銅製のケトルに入れ、スターター、及びレンネットを添加。凝乳は細かく砕き、50℃弱で温める。網パットのような円筒形の型に入れ、ホエーを切っていく。

塩味はここから来ているのかと思わせるのは、「乾塩法」と呼ばれる、これまた、伝統的な方法で作られる。それは、型に入れたばかりのまだ固まっていないカードに、たっぷりと塩をまいておくというか、のっけるだけの塩漬け作業。

カットすると、切り口の表面にホエーがにじみでて、いわゆる「チーズが泣いている」状態になる。マイルドで、食べごろでもある。円筒形で、直径:25~30cm、高さ:20~35cm、重さ:20~30kgの加熱圧搾の超硬質のチーズである。



1年熟成ともなると、表皮は白く、なめらか。うすい黄色がかった中身は、もろくて、崩れやすい。塩味がグッと強くなり、風味も増し、ピリッとした苦味。羊乳の軽い酸味も。加熱すると、旨味が増す。

逆に、熟成が若いものをブロックのままカジると、羊乳特有の甘さと、コクが感じられる。

そのままで食べると、幾分塩味は軽くなったとはいえ、しょっぱさは変わらない。ローマ帝国時代の兵士の保存食の名残りなのかな。

どうしても、しょっぱさが気になるなら、水につけて塩抜きする方法もあるのだが、料理の塩がわりとして使用してみては? すると、旨味もプラスと思わぬ効果も期待できる。

多くは、すりおろして、粉にし、茹で上がったスパゲティに、そしてリゾットに。とりわけ、あの「カルオナーラ」は、このペコリーノを使うのが本場風でもある。でも、やはり時代を反映してか、しっとりとして、口当たりもやさしい5ヶ月熟成モノは人気。

同じ仲間に、上記の「ペコリーノ・サルト」、「ペコリーノ・シチリアーノ」(シチリア)、そして「ペコリーノ・トスカーノ」などがあり、生産地が一目で分かる。

日本で有名なのは、半加熱圧搾の『ペコリーノ・トスカーノ』。キャンティや、オリーブの産地として有名なトスカーナ地方で作られるこれまた、伝統的なチーズである。

その種類はまた、「ペコリーノ・ロマーノ」同様、羊乳だけではなく、牛乳製あり、山羊乳あり、その混合乳あり、あげくは白カビさえも吹き付けるものがある。

フレッシュな生食用タイプは、「ドルチェ」。辛口で長期熟成モノを「ピロンテ」と呼ぶ。そして、フレッシュ、半熟成、そして熟成と3つのタイプがある。

そのなかでも、熟成30~40日のソフト・タイプの「フレスコ」は、麦わら色で、マイルド。塩分は控えめだが、むっちりと、しなやかな弾力性がある。やさしい甘みがある。

4ヶ月以上(通向けには、6~8ヶ月熟成もある)は、ハード・タイプで、「スタジオナート」と呼ばれ、深い香りと、甘いフレーバーが漂う。ほのかにキノコの香りも。濃い麦わら色になり、カットしたら、脂肪分が高めのため、すぐにべたべたするが、ここが食べごろでもある。噛めばかむほど、味わい深くなる。

そして、6ヶ月熟成で、保存を高めるため周囲にオリーブ・オイルをぬった「オーロアンチャゴ」といったものも、素晴らしくおいしい。是非、お試しを。



サイズもさまざま。レギュラー・サイズだと、直径15~22cm、高さ7~9cmほど、重さが1~3.5kgの円筒状だ。

羊乳をおよそ60℃で、3分ほど殺菌。36℃で、レンネットを入れ、スピーノといわれるカクハン道具を使い、フレッシュ用はクルミ大の大きさに、また、熟成用は米粒大に砕く。型枠に入れ、30℃で置いておく。

4分の3ほどの水分を抜いた後、プラスティック容器に移し、裏返しにしたりして形を整え、1日置く。塩をカードにまぶして、熟成へ。

若いうちは、辛口の白。熟成すると、独特の辛味と味わいのため、しっかりとした赤はどうか。そら豆もいいが、野菜全般にしっくり合う。カットして、レタスなんかとくるんで食べてみては。

注);チーズ・セミ・ハード/ハード

参考;『チーズ図鑑』(文芸春秋編、刊)

♪ どういうものか、シューベルトのシンフォニーが聴きたくなった。それもまだ、若かりし頃のヤツだ。いつものように、Walkmanで聴く。カルロス・クライバーの3番から始めよう。4番、名曲・5番は19才の時の作品。激しくも、シューベルトらしく美しい歌心がある。♪

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